命にかかわる頭痛と、それほど心配のない頭痛
頭痛は、かぜ、疲れや長時間の集中などのストレスなどでも起こる日常的な症状です。女性では生理などのホルモンバランスの変化によって周期的に頭痛を起こすケースもあります。
また、眼鏡の度数が合っていないなどで慢性的な頭痛を起こしていることもあります。市販薬を飲む、睡眠をしっかりとるなどで自然に治る頭痛は、それほど心配がないものがほとんどですが、中には放置してしまうと命にかかわる危険な頭痛もあります。
だんだん強くなっていく頭痛、激しい頭痛、吐き気や嘔吐をともなう頭痛など、いつもと違う頭痛の場合は、早急な受診が必要です。
こうした頭痛の場合、重篤な脳疾患が起こっているか、そのリスクが急激に高まっている可能性があり、命にかかわることも考えられます。
動くのもままならないほど激しい頭痛が起こった場合には「#7119 (救急相談)」に電話をして救急車を呼ぶべきか相談してください。 そこまで強い頭痛ではなくても、いつもとは違うと感じたらできるだけ早めに受診してください。
当院では気になる頭痛がある方が気軽に相談できるクリニックでありたいと思っています。
慢性的な頭痛がある、いつもと少し違う頭痛が起きたなど、気になることがありましたらご相談ください。
一時性頭痛
脳疾患などを原因としている危険な頭痛ではなく、一般的なよくある頭痛です。強い痛みを生じることもありますが、適切な治療を受けることで緩和できる可能性があります。
片頭痛(偏頭痛)
症状 | 頭の左右、どちらか片方がズキンズキンと脈打つように痛くなります。閃輝性暗点などの予兆を感じることもあります。女性に多くみられます。 |
原因 | 疲労、ホルモンバランスの変化、光・音による強い刺激などによって、周囲の三叉神経が刺激されて炎症物質が発生し、脳の血管が急激に拡張して、脳の血流が多くなりすぎるために頭痛を起こします。 |
緊張型頭痛
症状 | 頭痛の中で最も頻度の多い頭痛で、頭全体あるいは後頭部が締めつけられるように痛みます。眼の奥が痛くなることもあります。 |
原因 | 筋肉の緊張、あるいはストレスによって起こります。デスクワークやドライバーなど、長時間同じ姿勢で仕事を続ける職業に多いとされています。 |
群発頭痛
症状 | 片方の目の奥がえぐられるように激しく痛む症状が現れます。一定期間に集中して起こるため、群発性という名称がついています。 痛みは数十分から数時間続き、こうした頭痛が1ヶ月以上続きます。1日に何度も頭痛を起こすこともあります。症状は夜中や明け方に起こりやすく、男性の発症が多い傾向があります。 |
原因 | はっきりとした発症メカニズムはわかっていませんが、脳血管の拡張がかかわっていると考えられています |
後頭神経痛、大後頭神経三叉神経症候群
(GOTS:Greater Occipital Trigeminal Syndrome)
症状 | 後頭部の頭皮にズキーンという刺すような痛みがあり、髪をブラシでとかしたり、首を動かすことで痛みが引き起こされたりします。耳介の後ろのくぼみを押すと痛む圧痛点があるのが特徴です。 また、同時に眼の奥が痛み、まぶしさを感じることがあります。これは三叉神経第一枝に後頭神経の興奮が伝わるために生ずるもので、GOTSと呼ばれます。 |
原因 | 身体的、精神的ストレスになどにより、頚部の筋肉の柔軟性が低下したり、疼痛抑制のセロトニンやノルアドレナリンなどが減少して神経が過敏になっていると考えられます。 また、ストレートネックや頭部前方位姿勢も痛みを助長していると考えられます。 |
ただ、これらの痛みと椎骨動脈解離、クモ膜下出血という危険な病気と症状だけでは見分けることができないこともあります。後頭部に痛みが出現したときは頭部CT検査が必要ですので必ず受診して下さい。
二次性頭痛
早急な受診が必要な脳疾患などを原因とした頭痛で、放置してしまうと命にかかわる可能性があるのが二次性頭痛です。頭痛が徐々に強くなるなど、いままでの頭痛とは少し違うと感じたら、ためらわずに受診してください。
身動きできないほど激しい頭痛が起こった場合は、「#7119 (救急相談)」に電話をして救急車を呼ぶべきか相談してください。
他にも早急な受診の必要があるケースについて、下記でご説明しています。早期に適切な治療を受けることで手術や後遺症を回避できる可能性もあります。判断に迷う場合には気軽に当院へいらしてください。
注意が必要な症状
頭痛に加えて、下記のような症状がある場合には脳疾患が隠れている可能性があるため、できるだけ早い受診が必要です。
- ・ 体の片側や手足などに力が入らない
- ・ 片側や手足がしびれる
- ・ 言葉が出にくい、呂律が回らない
- ・ ものが二重に見える
- ・ めまい
- ・ 体がふらつく
- ・ まっすぐ歩けない
- ・ 意識が遠くなる
- ・ 吐き気や嘔吐
- ・ けいれん
- ・ 表情がゆがむ
くも膜下出血
脳の全体を覆う「くも膜」の内側で出血している状態です。生活習慣病などによる動脈硬化により脳動脈瘤が生じ、その破裂をきっかけとして起こる病気です。
ガツンと頭を殴られたような経験したことのないほどの頭痛、吐き気・嘔吐、意識障害などが見られます。
脳動脈瘤が未破裂のうちにCT検査で発見し、治療を行うことが、くも膜下出血の予防にもなります。
脳出血
脳動脈が破れ、出血している状態です。高血圧やそれに伴う動脈硬化の進行などが主な原因として挙げられます。
突然の強烈な頭痛、身体の片側の麻痺、吐き気や嘔吐、意識障害などの症状が見られます。
脳腫瘍
脳に生じた腫瘍です。 遺伝的な要因が大きいと言われており、血縁者に脳腫瘍の既往がある場合には、リスクが高くなります。
その他リスクを高める要因としては、たんぱく質・脂質の摂取過多、ストレス、喫煙習慣などが挙げられます。 脳腫瘍は、数カ月をかけて少しずつ大きくなります。腫瘍が大きくなるにつれて、頭痛も強まります。
頭痛の他、手足の痺れ、視力障害などの症状が見られることもあります。
いつもと違う頭痛が気になる時にはお気軽にいらしてください
頭痛は脳疾患が原因で起こることがありますし、そのリスクが高くなった時点で起こることもあります。
慢性的な頭痛がある方でも、「いつもと違う」感じがしたらためらわずにご相談ください。これまでよりも強く感じる・長く続く、徐々に強くなっていくなどは特に早急な受診をおすすめしています。
当院では、CTを使った精密な検査が可能です。これによって脳血管の状態も詳細に調べることができます。
早急な治療が必要な場合もスムーズに適切な診療を受けられるようにしていますので、お気軽にいらしてください。